そろばんの珠と枠と軸の材料について ......

珠材について : そろばんの珠として適している要件は、@重い A割れない B伸縮がない C量が豊富で、この要件を満たしている物は少ないです。
そろばんは計算器具であり、そのため、速算、即ち、珠を速く確実に動かすため重すぎるのも、軽すぎるのも適しません。
速算に向く珠は、樺、柘、柞です。

枠材として適している要件は、@珠に集中するため色が黒い A重い B伸縮がない C珠の弾き、返りを吸収することであり、木材が適しています。

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樺(カバ) 岩手県産。学名はオノオレカンバといい、斧が折れるくらい堅いという意味です。色は肌色で見やすく量が豊富にあるため、一般的に多く使われています。

柘(ツゲ) 中華人民共和国産、広島県産。色は黄色と明るいため、少し暗いところでも見やすい利点があります。材の特徴として、微妙な粘り気が木から出て、珠の運びの際、芯竹との摩擦が珠を重く感じさせます。この微妙な珠の運びの感覚は、他の珠にはなく、色が明るく適度な重さが珠算愛好家から支持されている所以です。中でも天然記念物に指定されている備後柘は柘材の中でも最高と言われ、重くて木目が美しいのが特徴です。その他、薩摩柘(鹿児島県)、縞柘(東京都御蔵島)などあります。

柞(イス) 鹿児島県産。チョコレート色で、樺や柘より重く、九州地方にファンが多いです。


アフリカ黒檀(コクタン) タンザニア、ケニア産。色は黒く重い。水に入れると沈みます。速算には向きませんが、枠材として使われています。日本に入ってきたのは戦後のことでして、そろばんの材料にしか使われていません。

梅(ウメ) 日本産。樺より少し軽い。江戸、明治時代に多く使われました。

紅木(コウキ) タイ国産。濃い赤色で重い。材料は少なく、貴重品です。

紫檀(シタン) 赤道付近の全世界で見られます。工芸品に多く使われています。

ラクト 化学製品

青黒檀(アオコクタン) タイ国産。貴重品で少なく、枠材として最高級品に使われています。大正時代頃より使われるようになり、伸縮性があるため20年以上の乾燥を要し、使える材もごく限られています。緑系黒色が神秘性と高級感がありますが、今はタイにもありません。

積層材 枠材及び梁材として使われています。木材を薄くスライスして圧縮加工したものです。折れにくく、ねじれにくい特性を持っています。

煤竹(すす竹) 草葺屋根の天井などに使用されて80年以上、煙に燻された物。軸材として高級品には必ず使われています。特徴として珠の弾きを安定させます。カタログにある事務用、競技用、教育用の販売価格10,000円から使用しています。

珠材の名称 樺(かば)、備後柘(びんごつげ)、薩摩柘(さつまつげ)、縞柘(しまつげ)、中国柘(ちゅうごくつげ)、柞(いす)、黒檀(こくたん)、青黒檀(あおこくたん)、紅木(こうき)、紫檀(したん)、梅(うめ)、牛骨(ぎゅうこつ)、椰子(やし)、陸南(りくなん)、白檀(びゃくたん)